奈良盆地の最南端、ゆるやかな坂が次第に吉野山中に入ってゆくところに高取町は位置する。人口8千人弱。江戸時代の230年余、植村藩2万7千石の城下町として栄えた。近くに白鳳時代以来、1300年の信仰をつないできた壷阪寺が壮麗な伽藍(がらん)を誇り、西国三十三ヶ所霊場の六番札所として今も参詣の人が絶えない。また植村藩が奨励した薬の生産と販売は大和配置薬として全国に知られ、町の主要産業として定着している。江戸時代の繁華な城下町の面影を色濃く残しながらも静かな雰囲気につつまれた町並みを訪ねた。