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近代化遺産ある記

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vol.2 南都銀行本店(旧 六十八銀行)

掲載日:2014年5月28日

登録有形文化財

羊のレリーフ刻む壮麗なギリシャ式建築

三条通りに面した壮麗な洋風近代建築、それが南都銀行本店です。竣工は大正15年(1926)。当時は「六十八銀行奈良支店」として、奈良郵便電信局跡地に新築されました。長野宇平治が設計監理を、工事は大林組が担当し、関係費用を含めた総工費52万3000円(現在の3億円超)という巨費が投じられました。建物は昭和3年に六十八銀行本店となっています。

鉄筋コンクリート造り3階建て(一部4階建地下1階)の建物は、関東大震災の教訓を生かした堅固な造りながら、外壁は岡山県産の花崗岩と、褐色の煉瓦(現在はタイル張り)で飾られ、4本のイオニア柱が美しい古代ギリシャ式建築。奈良では大きな話題となり、開業前の一般公開は入場制限が行われたほどでした。三条通り側は、現在も竣工時とほぼ変わらない姿を保っています。

チェックポイント!

花に飾られた羊のレリーフ

銀行に羊が刻まれたワケ

4本のイオニア柱の根元に刻まれるのは、植物を帯状の布で巻き、両端を2頭の羊の角に掛けた花綱(はなづな)文様。古代ギリシャ・ローマでは生贄の羊や牛を花綱で飾りましたが、やがて墓碑や建築物の装飾にもなりました。羊は財産の象徴であったため、銀行建築の装飾に採用されたと考えられています。レリーフは、東京美術学校の水谷鉄也(1876~1943)制作と伝え、東向通り側の壁面にも刻まれます。

まぼろしの玄関

遜色ないエントランス装飾

東向通りに面した入口の南側に、何やら塗り込められたような壁面が…。実はこれ、建設当初の玄関口。扉の上には「株式會社南都銀行」と刻まれた金属板も留められ、両脇には玄関口にふさわしく、羊をあしらったイオニア柱のレリーフが刻まれています。大勢の人が行きすぎる東向通りに面して、そこだけ時が止まったかのように、静かに歳月を物語ってくれます。

4階ホール天井部

繊細なレリーフの波、波、波

波のように連続するリズミカルで繊細なレリーフ文様は、4階ホール(当時)の天井に刻まれています。切妻屋根をシンプルなラインで飾る蛇腹装飾も重厚さを演出しています。ほかにも銀行にふさわしい重々しい造りのドア、曲線のラインが美しい階段の手すり…、さまざまな場所に、設計者のモダンな感性が伺えます(内部は非公開です)。

建てたのはこんな人!

長野宇平治(ながのうへいじ)
慶応3年(1867)~昭和12年(1937)

長野宇平治は、明治から昭和にかけて活躍した建築家で、越後国高田(現・新潟県上越市)に生まれました。東京帝国大学工科大学造家学科に進み、日本銀行本店や奈良ホテルを手がけた辰野金吾に学びます。明治30年に日本銀行技師に就任すると、多数の日銀支店建築を担当。台湾総督府庁舎の設計コンペに当選後、建築家として本格的に始動し、和風近代公共建築として好評を博した旧奈良県庁舎のほか、各地の銀行の建築や日銀本店増築などに関わりました。

南都銀行本店(旧 六十八銀行) DATA

住所奈良市橋本町16
アクセス近鉄奈良駅から徒歩約2分
設計者長野宇平治
建造年大正15年(1926)4月
一般公開外観見学のみ
問い合わせ0742-27-1611(南都銀行 公務・地域活力創造部)
関連サイト南都銀行 http://www.nantobank.co.jp/

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