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近代化遺産ある記

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vol.13 宝山寺獅子閣

掲載日:2015年4月30日

重要文化財

寺院の境内に建つ異色の洋風建築

奈良と大阪の県境に横たわる生駒山。古くは修験道の役行者(えんのぎょうじゃ)や弘法大師も修行をしたと伝える聖地で、今もたくさんの民間信仰が息づいている山です。その奈良側の山腹に位置するのが、生駒山宝山寺。現在の寺院の基盤を築いたのは、江戸時代の中興の祖、湛海律師(たんかいりっし、1629~1716)。聖天堂に祀られる歓喜天は、商売繁盛の神として奈良や大阪をはじめ近畿一円で今も絶大な信仰を集めています。

山門をくぐってすぐ、境内の北の山裾に建つ「獅子閣」は、明治17年(1884)落慶の2階建ての洋風客殿です。寄棟造の主屋に漆喰の白壁が美しく、周囲の仏堂伽藍に溶け込みながらも、アーチ構造やベランダも取り入れた西洋風の瀟洒な外観は、明治時代に日本各地で建設された擬洋風(ぎようふう)の建物のなかでもひときわ秀逸で、昭和36年(1961)に重要文化財に指定されています。毎年春と秋とに公開され、内部の螺旋階段や色ガラスなど、美しい建築や装飾の数々を見学することができます。

チェックポイント!

漆喰の壁にバルコニー

和洋折衷の外観

木造瓦葺に漆喰の壁という寺院建築のような色合いと、植物をあしらった西洋風の柱頭飾りが融合した擬洋風建築。1階はアーチ状の窓枠に角柱、2階は四角い窓枠に円柱と、表現にも変化をつけています。南側のベランダは長谷寺などに見られる懸崖(けんがい)造となっています。

螺旋階段・色ガラス・格天井

宮大工の技と西洋建築の部材の競演

漆喰の壁に布張りの天井、色ガラスをはめた扉のある1階は、宙に浮いて見える大胆な構造の螺旋階段も見どころの1つ。2階の和室は格天井(ごうてんじょう)で、建材の研削などに宮大工の丁寧な仕事が見られる。総金箔張りの座敷や土佐光孚(みつざね)の襖絵も圧巻。

ブル号・ミケ号で登る生駒山

日本最古・最長のケーブルカー

生駒ケーブルは大正7年(1918)開業。旅客を運ぶ鳥居前-宝山寺(宝山寺線)、宝山寺-生駒山上(山上線)の2kmの路線は国内最古・最長。宝山寺線を走るブル号・ミケ号、山上線のドレミ号・スイート号は子どもにも大人気で、生駒山上遊園地には日本最古の飛行塔もあります。

建てたのはこんな人!

吉村松太郎(よしむらまつたろう)

吉村松太郎は越後の出身。明治8年(1875)、聖天堂の再建の折に一大工として働いていましたが、洋風客殿建設を思い描いていた宝山寺第14世乗空に見込まれ、横浜に留学の機会を得ました。3年間の研修期間を終えて帰ってきた松太郎は、本堂前の天神社で腕を試され、認められると、獅子閣建設の棟梁に命じられます。その後、近隣の大工とともに建設に取り組み、獅子閣は明治15年に棟上げ、17年に落慶。松太郎はその後、越後から家族を呼び寄せ、この地で一生を終えたと伝えます。

宝山寺獅子閣 DATA

住所生駒市門前町1-1
アクセス近鉄生駒駅から徒歩約3分で鳥居前駅へ、生駒ケーブルで約5分、宝山寺駅下車、徒歩約10分
建造年明治17年(1884)
一般公開春と秋の年2回(2015年春は5/1~5/6、8:00~16:00、受付は15:30まで)
入館料500円
問い合わせ0743-73-2006(宝山寺)

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