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近代化遺産ある記

vol.14 奈良市総合観光案内所(JR旧奈良駅舎)

掲載日:2015年6月30日

経済産業省認定近代化産業遺産 土木学会選奨土木遺産

いまも昔も愛され続ける古都奈良の玄関口

JR奈良駅の北にある奈良市総合観光案内所。国内外の観光客から重宝される奈良の観光拠点ですが、実はこの建物、平成15年(2003)までJR奈良駅舎として利用されていました。
日本国有鉄道(現JR西日本)によって昭和9年(1934)に竣工され、その様相は寺院風和風と鉄骨鉄筋コンクリート造の近代的構成でできた和洋折衷の荘厳なもの。当時の建築技師が奈良の諸寺院の特色ある屋根を参考して考案したそうです。

このような建築は洋風意匠の建物に比べ、数が少なく貴重です。ところが平成13年(2001)、JR奈良駅付近の連続立体交差事業で駅機能が新駅に移ったことにより、その存続が危ぶまれます。県民や観光客からの存続を望む声や、文化的価値を踏まえ、県・市・JR西日本の三者協議の末、保存が決定。駅舎をレールと鉄の棒(ころ)による曳き家工法で、北東へ18m移動を行い、平成21年(2009)年に観光案内所として生まれ変わったのです。

チェックポイント!

まるでお寺!九輪と風鐸

近代的、されど日本的

方形屋根には寺院を感じさせる九輪をのせ、四隅には風鐸が見られます。内部中央には大仏殿に見られるような格天井(ごうてんじょう)。柱は洋風を意識し、柱から横に伸びる肘木は寺院風に組まれています。見事な洋と和の美の調和は、異文化を取り入れてきた奈良に相応しいデザインといえるのではないでしょうか。

古代文様モチーフのレリーフ

奈良らしさを失わせないひと工夫

案内所として利用するため改修工事が行われましたが、建物の高い部分には、比較的当時の姿が残っています。柱や壁面にあしらわれた古代文様のレリーフもその1つ。正倉院宝物など奈良時代に好んで用いられた宝相華文様や忍冬唐草文様をモチーフとしています。

シンプルイズベスト!かけ時計

走れ!電車に乗り遅れないように!

建物の正面には、シンプルで明快なデザインのかけ時計が設えられています。これは駅舎として利用されていた名残。発車時刻や到着時刻、待ち合わせまでの時間は何分?さぞかしいろんな人が見たであろうこの時計、いまも現役で時刻を知らせてくれます。

奈良市総合観光案内所(JR旧奈良駅舎) DATA

住所奈良市三条本町1082
アクセスJR奈良駅から徒歩すぐ
設計者大阪鉄道管理局の国鉄技術陣
建造年昭和9年(1934)
問い合わせ9:00~21:00(年中無休)
関連サイト0742-34-5135(奈良市観光振興課)

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