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勝手に奈良検定

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第81回 勝手に奈良検定

問題1

今月は、春日若宮おん祭特集です。12月15日、17日のお渡りに先立ち、大宿所祭が行われます。そこでふるまわれる名物のこの食べ物の名前は何でしょう。

第81回 勝手に奈良検定

正解

正解は、のっぺ汁。

奈良市の餅飯殿(もちいどの)センター街の一角にあるおん祭の大宿所は、年に1度、大宿所祭の日にはおおぜいの観光客でにぎわいます。 大宿所は、かつてはおん祭で流鏑馬(やぶさめ)を取り仕切る大和士(やまとざむらい)たちが、お祭りの7日ほど前に入り、精進潔斎を行う場所でした。12月15日には、ここで御湯立(みゆたて)と大宿所祭が行われます。

この大宿所祭の名物が「のっぺ汁」です。地元商店街の人たちが昼から夕方6時ごろまで、大釜6杯分のアツアツののっぺ汁をふるまってくれます。のっぺ汁とは冬にいただく奈良の郷土料理で、野菜の味を生かした薄味の汁物。白味噌や醤油など味付けは各家庭さまざまですが、現在大宿所祭でふるまわれるのは鳥ガラスープの塩味です。大根、小芋、厚揚げなど平均3~4㎝角の大きな具材がごろごろと入っています。

当日使う材料は、大根(大)48本、金時人参(大)60本、ごぼう120本、こんにゃく120枚、小芋24㎏、さいころ厚揚げ1500個前後の1200人前。最後に春日大社でご祈祷を受けたガン封じの大きな杓子でかき混ぜてでき上がりです。前日から準備し、当日朝から2時間かけて、現地で炊き上げられるのっぺ汁。地元商店街の愛情こもった冬の名物を、ぜひご賞味あれ。

問題2

春日若宮おん祭の見どころのひとつ、松の下式。ここに生える松の名前を、さて、何というでしょう。

正解

正解は、影向の松(ようごうのまつ)。

影向とは、神が依るところという意味です。奈良市の春日大社の一の鳥居脇にある影向の松は、神が降りるひもろぎ(依りしろ)として、たいへん神聖なものとして大事にされてきました。その昔、春日大明神が降臨し、翁の姿で萬歳楽を舞ったと伝え、能舞台の鏡板に描かれているのもこの松といわれています。

おん祭のお渡り式は、12月17日の正午に奈良県庁前を出発、西に向かい、JR奈良駅前からは三条通りをのぼり、興福寺南大門前での「交名(きょうみょう)の儀」(参列者のチェック)を経た後、一の鳥居に向かいます。鳥居をくぐったところで、所定の役の人々は、それぞれの芸能の一節や舞を演じてからでないと、お旅所へはうかがえない決まりとなっています。これを「松の下式」といい、陪従(べいじゅう)・細男(せいのお)・猿楽(さるがく)・田楽(でんがく)が、それぞれの所作を披露します。

松の下式でこれらの所作を検知する重要な役目を担っているのが、2人の稚児です。これを「頭屋稚児(とうやのちご)」といい、かつては興福寺で勉学にいそしむ立場の僧侶たちから選ばれていました。その姿は、まっ赤な小袖に白い上衣を着し、頭を隠した畏頭(かとう)姿。神事に僧侶が立ち会うために、頭を隠したといいます。明治以降長らく廃絶していましたが、平成15年に復興しました。可愛らしい男の子たちが、懸命に検知役を勤める姿が印象的です。

問題3

おん祭は、春日大社の若宮神社から若宮をお招きし、年に1度、楽しいひと時を満喫していただこう、という行事です。しかし若宮の旅には残念ながら時間制限があります。若宮がちまたで旅を楽しめる時間は、さて、何時間?

正解

正解は、24時間。

若宮が若宮神社を出発するのは、12月17日に日付が変わった直後の真夜中です。この御旅所への道中を「遷幸の儀(せんこうのぎ)」といいます。若宮神社の拝殿では、「お出ましの時間です」という合図を若宮に笛で知らせます。これは神に人の声で声掛けをするのは畏れ多いためといいます。また本来は朝に出かけるべきところを夜中に発つため、拝殿の蔀戸(しとみど)を開け、かたちの上で朝が来たことを演出します。

17日の午前0時、若宮は、大勢の神職に守られながら、御旅所に向かって出発します。神職が発する「ヲーーーーー、ヲーーーーー」という警蹕(けいひつ)の声と、道中のBGMとなる「慶雲楽(けいうんらく)」が、真夜中の参道に静かに響きます。参道は真っ暗で、灯りをつけることは許されません。ただ行列を先導する2本の松明の火がこぼれ、二筋の火の粉の道となって参道に点々と続くさまは、とても幻想的です。滞在先となる御旅所も、若宮が旅の宿である御仮殿(おかりでん)に入られるまで、灯りは点けられません。御旅所到着後は暁祭が行われ、夜中の行事は終了します。

翌日はお渡り祭です。中世の芸能絵巻といわれる数々の芸能が御旅所で繰り広げられ、1日中若宮を楽しませます。夜11時、ふたたび御旅所の灯りが消されるといよいよ若宮が神社へ戻られる「還幸の儀(かんこうのぎ)」にうつります。来たときと同様、暗い夜道を行列が進みます。旅のBGMは「還城楽(げんじょうらく)」です。若宮が神社に完全に戻られた後、灯りのもと社殿神楽が舞われ、お祭りが終わります。夏から準備が進められ、大勢の人々に支えられる若宮の旅は、わずか24時間。たった1日にかける思いこそが、いまもおん祭を支えています。

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