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多武峯街道から明日香へ ~歴史と道標の道を歩く~

掲載日:2013年11月29日

桜井駅近くから多武峯(とおのみね)へは多武峯街道が通っています。紅葉の時期、多くの人で賑わう談山神社ですが、その歴史は古く、大化の改新前の中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と藤原鎌足との逸話が伝わります。多武峯は明日香村の東側に連なる山で、現在では車で直接明日香に下ることができますが、ハイキングコースとして親しまれる道も残されています。道端の道標を見れば、この道が明日香と初瀬や伊勢を結ぶ歴史深い道でもあることがわかるのです。

JR近鉄桜井駅~(路線バス使用)~破不動~不動滝~屋形橋~談山神社東大門~談山神社~談山神社西大門~気都和既(きつわき)神社~石舞台古墳~南都明日香ふれあいセンター犬養万葉記念館~亀石~鬼の俎(まないた)・鬼の雪隠~近鉄飛鳥駅(徒歩約4時間)

談山神社方面へは、桜井駅から桜井市のコミュニティバスが運行されています。多武峯街道は桜井の町の中からほぼ一直線に南へ下り、まず談山神社一ノ鳥居へ出、その後、聖林寺(しょうりんじ)近くでバスの通る県道に合流します。その後は不動滝付近で再び旧道と分かれ屋形橋へと続いています。多武峯街道途中の不動滝付近でバスを降り、旧道へ入るとすぐに、大きく2つに割れた岩に不動明王が刻まれた「破不動」(やぶれふどう)があります。多武峯にある御破裂山(ごはれつさん)が有事に鳴り響いたときに、不動明王が彫り込まれた大岩が裂けたといわれています。

不動の大岩のすぐ近くには不動滝がありますが、まるで岩の間から水が滝となって落ちているような滝です。さらに旧道を登っていくと屋形橋があり、車道の横を町石に導かれながら進むと談山神社の東大門に出ます。談山神社は明治初期まで妙楽寺という寺で、その名残の石碑や、大日如来を表す種子を刻んだという摩尼輪塔(まにりんとう)が残されています。まるで城塞のような石垣が残る坂道を登れば談山神社の境内です。道はそのまま坂を登り、やがて西大門跡に着きます。ここからは遠く葛城山も見え、眺めの良い風景が楽しめます。新しい車道が眼下に見えていますが、車道を歩かず細い道を下っていきましょう。道はやがて足元の悪い山道になり、何回か車道を横切りながら下っていきます。

気都和既(きつわき)神社からは再び細い里道になります。神社は静かな森に囲まれていますが「もうこの森」とも呼ばれ、大化の改新の際、藤原鎌足が板蓋宮で暗殺した蘇我入鹿の首に追われて逃げて、この地で『もう来ぬだろう』と言ったという逸話が残るところです。この付近から視界は広がり、のどかな棚田が広がる風景を見ながらひたすら明日香に向かって下っていきます。坂を下りきった所が石舞台古墳です。石舞台古墳は蘇我入鹿の父親である蘇我馬子の墓であったといわれています。古墳の石室がむき出しで、巨大な岩が使用されていたことがわかります。石舞台からは明日香村の集落をぬけ、万葉集を朗々と歌った犬養孝氏を記念する「南都明日香ふれあいセンター犬養万葉記念館」の前を過ぎ、聖徳太子誕生の寺・橘寺、不思議な亀石、鬼の俎、鬼の雪隠などを散策しながら進みます。

道は国道169号を横切り、岩屋山古墳の前を通過していきます。その先に江戸時代の安政の年号がある道標が残されています。道標には「ちはら、ごせ、こんがうさん(こんごうさん)」という文字が読み取れ、この道が確かに桜井や初瀬から談山神社を通り、明日香を抜け、さらに御所へと続いている道だということがわかるのです。


破不動の大岩

談山神社東大門

談山神社十三重塔

多武峯から見た明日香村

気都和既神社

明日香村に広がる棚田

南都明日香ふれあいセンター
犬養万葉記念館
 

明日香・日本の原風景が残る村~日本の心のふるさと~

昭和55年5月、明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法(=明日香村特別措置法)が制定されました。また、飛鳥時代の日本の黎明期の大切な遺跡が数多く残されていることから、村のほぼ全域が古都保存法の対象地域になっています。そのため隣の市町村でありながら都市開発が進む橿原市と異なり、いまものどかな田園風景が広がっています。その風景はまさに日本の原風景といってよいでしょう。
明日香を旅する時は、少しの歴史的な知識と想像力を持って出かけてください。かつてここにはどんな風景が広がり、どんな建物があり、どんな人間の想いが残され、歴史的事実が隠されていたのかを考えることで、その魅力はさらに膨らむことでしょう。


石舞台古墳


亀石


鬼の雪隠と明日香村の風景

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