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勝手に奈良検定

第93回 勝手に奈良検定

問題1

写真はおん祭のお渡りを構成する伝統行列の1つ。さて、この行列は何番目に登場する、何と呼ばれる行列でしょう。

第93回 勝手に奈良検定

正解

正解は、12番目に登場する大名行列。

平安時代、保延2年(1136)に奉仕が始められた「春日若宮おん祭」は、2014年の今年、879回目を迎えます。毎年12月17日の正午から行われるお渡り式は、おん祭の華ともいえ、沿道は大勢の見物客で埋まります。

ふつうの祭礼では、神様がお供を従えてお旅所へ渡られることを「お渡り」と称しますが、おん祭の場合はこれと異なり、夜中にお旅所へお入りになった若宮に、芸能集団や祭礼に関わる人々がご挨拶に伺う、その社参の列のことを指します。華やかな装束に身を包んだ人々が、県庁前からJR奈良駅前を通り、三条通をのぼってお旅所へ向かいます。

行列はその構成ごとに12番に分かれています。順番は第1番「日使(ひのつかい)」、第2番「巫女(みこ)」、第3番「細男・相撲(せいのお・すもう)」、第4番「猿楽(さるがく)」、第5番「田楽(でんがく)」、第6番「馬長児(ばちょうのちご)」、第7番「競馬(けいば)」、第8番「流鏑馬(やぶさめ)」、第9番「将馬(いさせうま)」、第10番「野太刀他(のだちほか)」、第11番「大和士(やまとざむらい)」、第12番「大名行列(だいみょうぎょうれつ)」。つまり行列の最後を締めくくるのが、江戸時代に加わった大名行列なのです。「ひぃ~よ~いやな~」の伸びやかな掛け声にあわせ毛槍や笠が宙を舞う、パフォーマンスたっぷりのお渡りが楽しめます。

問題2

毎年12月17日に行われる春日若宮おん祭のお渡り式では、馬上の男性が多く見られます。その一人に、「おん祭を創始した関白・藤原忠通(ふじわらのただみち)の代わり」という役どころの人がいます。その役名は、さて次のどれでしょう。

1.年使
2.月使
3.日使

正解

正解は、3の「日使(ひのつかい)」。

おん祭をはじめて奉仕したのは関白・藤原忠通です。忠通は、保延元年(1135)、大洪水による飢饉のおさまることを願い、春日大社第3殿の天児屋根命(あめのこやねのみこと)と第4殿の比売神(ひめがみ)の御子神である若宮神のために、神殿を造営しました。願いが通じたのか、国もようやく平穏になりました。そこで翌年、その御礼の気持ちを込めて若宮をお旅所にお迎えし、楽しんでいただこうと祭礼を捧げます。これがおん祭の始まりです。

日使とは、読んで字の如く、「1日だけのお使い」の意味で、忠通の代理という役どころです。これは忠通が祭礼に向かう途中で急病となり、急きょ、お供の楽人に、今日1日だけ自分の代わりをするように言いつけたことに始まるといわれます。日使は黒の束帯(そくたい)姿で、冠に藤の造花を挿し、てっぺんに金箔張りの鶴の飾りを頂く風流傘(ふりゅうがさ)を差し懸けられています。続くお供の陪従(べいじゅう)も冠に山吹の造花を挿し、風雅な雰囲気が当時の貴族の生活を伺わせるのに十分です。

このように高貴のものの姿を、それよりも身分の低いものが真似をし、1日だけその人の代理を果たすというスタイルは、まさに平安の粋であり、祭礼における無礼講であり、日本人が好んだ「風流」そのものであったといえます。「生ける芸能絵巻」とも称されるおん祭には、そこここに日本人の美意識がかいま見られるのです。

問題3

2012年のおん祭で復興された「意伝坊(いでんぼう)」。さて、これは次のどれのことでしょう。

1.酒の肴
2.若宮が休まれる建物
3.僧兵の行列

正解

正解は、1の「酒の肴」。

長い歴史を誇る春日若宮おん祭。しかし明治期の混乱のなかで、途絶えてしまっ神事などもたくさんありました。意伝坊もその1つ。2014年、多くの人々の探究と努力によって、明治期以来の復興を遂げました。

意伝坊とは、簡単にいえば味噌味の酒の肴。もち米、ごま、あずき、山椒、芥子(けし)、味噌を混ぜて小指の先ほどの大きさに丸めたもので、古儀にのっとり、山に盛って結び昆布を随所に挿せば盛り付け完了です。これはかつて「乗出しの祝(のりだしのいわい)」の席で出され、お渡りに向かう大和士(やまとざむらい)たちが、馬に乗る前にいただくお神酒の酒の肴として用意されたものです。

幕末の奈良奉行であった川路聖謨(かわじとしあきら)は、その著『寧府記事(ねいふきじ)』に、小太郎町の翁が作ったと書き記していますが、「居伝坊」「井伝坊」の字も用いられます。現在意伝坊が見られるのは、12月16日の大宿所祭が終わったあとで、遠目ではありますが、茶色の丸い粒が山盛りになったものを目にすることができます。おん祭ではいまもいろいろな神事・行事が少しずつ復興されています。なお春日若宮おん祭をさらに深く知るには、毎年お祭りの際に出される春日大社のパンフレットや「月刊大和路ならら」が便利です。

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