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奈良時代から続く 古き良き発酵食品の魅力


2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、改めて注目を集める味噌や醤油などの「発酵食品」。奈良に都があった時代にできた「醤(ひしお)」や、郷土料理「奈良漬」など、奈良と発酵食品には深いつながりがあります。今回は、発酵の魅力にじっくりと迫ってみましょう。

1.発酵のルーツと奈良時代

「発酵」とは、食べ物に付いた微生物(乳酸菌・麹菌・酵母など)の働きで、食べ物が美味しくなることをいいます。そのルーツを探ってみると、人類が狩猟採集をしていたころにまで遡ります。食料を保存するため、魚や肉などを塩で漬け込んでおく間に、味が変化し、うま味が出てきます。こうして出来上がったのが「醤(ひしお)」です。

飛鳥時代から奈良時代まで、中国から様々な文化が日本に伝わる中、穀物と塩でつくる発酵調味料「穀醤(こくしょう/こくびしお)」が作られるようになりました。大宝律令(710年)によると、宮中内の食事を取り扱う部署「醤院(しょういん/ひしおのつかさ)」が置かれ、醤の生産や管理をしていたという記録が残るなど、その珍重ぶりがうかがえます。

また、万葉集にも醤が登場しています。藤原京時代の歌人、長忌寸意吉麻呂によって、

醤酢(ひしほす)に蒜(ひる)搗(つ)き合(か)てて鯛願ふ われにな見えそ 水葱(なぎ)の羹(あつもの)

と歌われています。「醤と酢を混ぜた調味料に蒜(ニラのような野草)を加えて鯛を食べたいのに。あるのは(野草のような)水葱のスープで、私に見せないでくれ」といった意味で、鯛と一緒に食べたいと願う様子に、当時の調味料としての「醤」の美味しさ、人気ぶりが感じられますね。

2. 発酵の効能

発酵食品は、身体によいとされる多くの栄養素を含んでいます。これは、味噌や醤油、酒や酢など、日本の伝統的な発酵食品のほとんどに使われている麹(こうじ)菌の働きによるものです。麹菌には30種類以上の酵素が含まれ、栄養の吸収をスムーズにし、腸内の善玉菌を増やして消化バランスも整えてくれます。ほかにも、免疫力の向上、病気の予防、美肌効果なども期待されています。

また、「こうじ」を表す漢字には「麹」と「糀」の2種類があるため、使い方に戸惑う方も多いでしょう。「麹」は米・麦・大豆などの穀物で作られたもの、「糀」は米のみで作られたものです。「糀」は、米にふわふわとついた白い菌がまるで花のようであることからできたといわれています。

3. 奈良を代表する発酵食品『奈良漬』

現代の奈良を代表する発酵食品といえば、やはり「奈良漬」です。その漬け方や風味はお店ごとにさまざま。今回は、東大寺南大門前に店を構える、明治2年創業の老舗奈良漬店「森奈良漬店」を紹介。5代目の森麻理子さんにお話を伺いました。

同店のこだわりは、まず製法にあります。漬ける食材に合わせて、酒粕の量や漬ける時間など、配分を微妙に変え、素材そのものの味を最大限に引き出します。瓜や胡瓜などの食材は、自家栽培や契約栽培の野菜や果実にこだわり、吟味された酒粕天然塩のみを贅沢に使用。こうして、丹念に漬け込まれた酒精(アルコール分)のきいた奈良漬が完成します。砂糖・甘味料・みりん粕等を一切使用しない同店の奈良漬け。

森さんは、「辛口が苦手なら、食材を水洗いしたのち水分をしっかり取り、2~3日冷蔵庫で寝かせると、酒精が発散し、糀からの自然な甘みが出てきます」と教えてくれました。
また、酒粕は捨てず、一塩した魚や肉と一緒に3~4日ほど漬け込んでみるのもおすすめ。さらに2週間ほど漬け込んで独特のふんわり・ホロホロ感を堪能するという人も。
奈良漬を使ったお手軽で簡単なレシピが「森奈良漬け店」公式HPと森さんのブログで紹介されていますので、ぜひ一度お試しあれ。

酒粕を洗い落とさずそのまま食べられる「きざみ奈良漬」小サイズ380円、大サイズ540円(税込)。
サイズ感も良く、奈良のお土産にぴったりです。

4. 食事だけでなく発酵菌をからだへと吸収させる『ビオスチーム』

新薬師寺と白毫寺の間に佇む、古民家を改装した一軒家「糀料理とビオスチームのお店 えん」。2020年11月に「糀料理と発酵野草蒸し座浴のお店 花」から独立オープンし、すべての料理に塩糀・醤油糀・甘糀・酒粕糀・ヨーグルトなどの発酵調味料を使用して、美味しいだけでなく体にやさしい料理を提供しています。色鮮やかなたっぷり野菜や糀料理が盛り付けられた栄養満点のワンプレートは、味だけでなく目からも楽しめる、とっておきの逸品ですよ。

目にも鮮やかな「えんの糀プレート」1,300円(税別)

そして同店では、食事だけでなく「ビオスチーム」と呼ばれる発酵野草蒸し座浴も体験できます。「ビオスチーム」は、古代米発酵エキスを配合した数種類の野草パウダーをスチームし、この発酵菌をあらゆる毛穴と粘膜から体内へと吸収させるもの。発酵菌を体内にチャージさせることで、不眠や冷えむくみの改善・免疫力のアップ・疲労改善などへの高い効果が期待できるのだそう。またこの薬草パウダーは非常に香りが良く、癒し効果も抜群です。

よもぎ・クマザサ・モリンガ・柿の葉・松の葉・どくだみ・スギナ・ウコン・カカオ・紅芋(オミキ)等の薬草を使用している


このような方法で、「発酵」は食べるだけでなく体内に吸収させることもできるのです。店内では実際にお店で使用している塩糀などの発酵調味料も購入でき、使い方のアドバイスもしてもらえます。いつも使っている食塩を塩糀に置き換えるだけで、減塩にもなり味もマイルドに。そして何より、これだけで普段の生活に糀を取り入れることができます。すぐに使用できる状態で販売されているため、ご自身用やお土産におすすめです。えんの店主 谷川恵美子さんが大切にしている「一度食べたらまた食べたくなる、そんなからだとこころが喜ぶごはん」と発酵野草蒸し座浴ビオスチームで、おいしく美しく、より身体と心が喜ぶものを取り入れましょう。

自家製の調味料も販売中(左から「塩糀」200g310円、「こうじ納豆」200g580円、「醤油糀」200g520円(各税別)。
発酵食スペシャリスト北村愛レシピを使用

〇参考Webサイト
奈良県醤油工業協同組合
https://nara-shoyu.jp/hishio
キッコーマン
https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/museum/history/hishio.html
万葉集
http://www.pref.nara.jp/43798.htm

<プロフィール>

森 麻理子さん

「森奈良漬店」5代目。野菜ソムリエ・肥満予防健康管理士・ダイエットアドバイザーなど多くの資格を持ち、ご自身の経験と発酵食品を通してダイエット・アンチエイジングメニュー監修やヘルスケア分野での提案を得意とする。各地でトークイベントやワークショップなどの実績多数。またInstagramでは、奈良公園の鹿たちを中心とした「鹿スタグラム」を投稿。こちらも非常におもしろい。

谷川 恵美子さん

「糀料理とビオスチームのお店 えん」店主。看護師・保健師として病院や保健福祉センター・民間企業に勤務。乳幼児・成人・老人とあらゆる世代の看護や保健指導、福祉サービス事業に携わった中で、特別なケアだけでなく日常の小さな習慣、特に食習慣がその人の体と心をつくることを実感。発酵食を学んで実践を積みたいという思いからこの道へ。

 

森奈良漬店 データ

電話 0742-26-2063(受付9:00~17:00)
住所 奈良市春日野町23(東大寺南大門前)
営業時間 9:00~ 18:00(イベント時は延長有)
定休日 年中無休
HP https://www.naraduke.co.jp/
Instagram https://www.instagram.com/morinaraduke/
 

糀料理とビオスチームのお店 えん データ

電話 0742-24-2178
住所 奈良市白毫寺町228
営業時間 ランチ11:30~14:00/カフェ14:00~17:00/夜17:00~21:00(※夜は要予約)
定休日 日曜
Instagram https://www.instagram.com/kouji_bio_en/

 

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