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正倉院展
掲載日:2026年9月18日
「第78回 正倉院展」
奈良の秋を彩る「正倉院展」の季節がやってきます。飛鳥・藤原の時代から大陸との交流を重ね、平城京の時代に華やかな天平文化を育んだ奈良。その美と歴史を今に伝える正倉院宝物。今回は、出陳される宝物のなかから、注目の5点をご紹介します。お出かけの前に、開催期間や観覧方法もあわせてご確認ください。

令和8年(2026)の「正倉院展」について
2026年10月24日(土)から11月9日(月)までの17日間にわたり開催される、第78回目となる正倉院展。今年は、調度品や楽器、服飾品、仏具、文書など、正倉院に伝わる宝物のなかから、60件(うち初出陳11件)が出陳されます。観覧には、事前予約制の日時指定券が必要です。
世界に誇る「正倉院宝物」
シルクロードの終着点ともいわれる奈良。奈良時代にはすでに国際交流が盛んで、異国の文化や文物が遣唐使などによってたくさんもたらされました。その刺激を受けて高級素材を用い、技の限りをつくした異国情緒あふれる工芸品、調度品、仏具、楽器などが国内でも作られました。正倉院にはこれらのほか、戸籍などの文書類、経典、薬物など、膨大な点数の品々が収められ、整理された宝物だけでも9千件を超えています。
この宝物のはじまりとなったのは、天平勝宝8歳(てんぴょうしょうほうはっさい)(756)の聖武天皇の七七忌に、光明皇后が天皇の冥福を祈って大仏に献上した天皇ゆかりの品々です。その後、時を経て、宝庫は3つに仕切られ、北倉にはおもに聖武天皇のご愛用品、中倉には東大寺に献納された品々や文書、南倉には仏具や大仏開眼会(だいぶつかいげんえ)などの東大寺の儀式に関わる品々が納められました。1200年もの昔から大切に継承された宝物群は世界にも類がなく、まさに世界の至宝ともいえるのです。
そもそも正倉院って?
学校できっと一度は習う「正倉院」を、実際にご覧になったことはありますか? 正倉院は東大寺大仏殿の北西、約300mのところにあり、現在は宮内庁の機関である正倉院事務所が管理しています。国宝に指定されている「正倉院正倉」は南北約33m、高さ約14m、総ヒノキの高床式校倉造(あぜくらづくり)の倉庫で、8世紀中頃に建てられました。かつては「校倉造の木材が呼吸して通気性がよかったために宝物が守られた」という説が信じられていましたが、実際には、宝物は辛櫃(からびつ)と呼ばれる櫃に収められたために適度な温湿度調整がなされ、今に伝わったというのが正しいようです。現在宝物は、正倉に近い鉄筋コンクリートの東宝庫・西宝庫で管理されており、正倉には櫃などが納められています。正倉院宝物は通常非公開ですが、毎年10月から11月にかけて総点検が行われ、この時に宝物の一部が奈良国立博物館に貸し出されて、「正倉院展」として公開されます。
正倉院は1つだけじゃなかった?
現在の「正倉院」の本当の名前は「正倉院正倉」といいます。奈良~平安時代、日本各地の役所や大きなお寺には、大事なものを収める「正倉」と呼ばれる倉庫が置かれ、正倉がたくさん建ち並ぶ一画を「正倉院」と呼びました。つまり正倉院は、かつては一般名詞だったのです。しかし時代が下るにしたがって数が減り、最後にたった1棟、東大寺の「正倉院正倉」だけが残りました。そのため今では「正倉院」と言えば、かつて東大寺の正倉院正倉だった建物を指す固有名詞となっています。
★校倉造の「正倉院」も見に行こう!
正倉院は塀の外から見学できます。せっかくお出かけするなら、正倉院展と正倉院、両方を見てコンプリートするのはいかがでしょうか。
(申し込み手続き不要、見学無料)
| 公開日 |
正倉院展の会期中は毎日 |
|---|---|
| 場所 |
東大寺大仏殿から北へ300m |
| 開館時間 |
正倉院展の会期中は10:00~16:00 |
今年絶対見ておきたい正倉院宝物セレクション
北倉 漆胡瓶(しっこへい)〈ペルシア風の水差し〉
寸法:高41.3cm、銅径18.9cm
聖武天皇のご遺愛品の水差し
西アジアに由来する把手付きの水差し「胡瓶」を、東アジアの漆工技術で仕立てた「漆胡瓶」。黒漆の地に、シカやオシドリ、草花、山岳などを銀板で表した華やかな姿が目を引きます。銀板の文様には唐代に流行した技法が用いられていることから、唐からの舶載品である可能性も高いといわれています。『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』に記されており、聖武天皇のご遺愛品と考えられています。
北倉 紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)〈染め象牙の碁石〉
寸法:径1.5~1.7㎝、厚0.7~0.8㎝
象牙でできた鮮やかな碁石
撥鏤(ばちる)とは象牙を染めた後、表面を彫ることで白い地を出して文様を表す技法。成形した象牙を赤色に染め、ヤツガシラとみられる鳥文を彫り出し、文様の一部には緑や黄色も添えられています。正倉院には紅牙撥鏤碁子132枚、紺牙撥鏤碁子120枚が伝わり、今回はそれぞれ10枚が出陳されます。聖武天皇の四十九日に際し、東大寺大仏に献納された宝物であることが『国家珍宝帳』に記載されています。
中倉 密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)〈鳥獣文様の献物箱〉
寸法:縦30.0㎝、横45.0㎝、高21.4㎝
躍動的な文様表現
黒漆塗(くろうるしぬ)りの地に、白や橙色で鳳凰や怪鳥、唐草文を躍動的に表現された箱。顔料(がんりょう)を施した上から、密陀僧(みつだそう)を混ぜた油を塗る「密陀絵(みつだえ)」という技法が用いられています。高句麗古墳壁画や法隆寺の玉虫厨子など、7世紀の美術作品に通じる古様さも見どころです。蓋に残る記録から、天平勝宝4年(752)に行われた東大寺の大仏開眼会(だいぶつかいげんえ)で香を献納する際に使われたことがわかります。
南倉 伎楽面 酔胡王(ぎがくめん すいこおう)〈楽舞用の面〉
寸法:縦39.2㎝、横18.8㎝、奥行24.9㎝
大きな目に高い鼻が印象的な面
伎楽は百済から伝わった仮面劇で、飛鳥から奈良時代の寺院で盛んに演じられました。大きな目に高い鼻、丈の高い冠帽が印象的な本品は、酒に酔った胡国の王を表した面で、従者を従えて宴会をする演目に用いられたと考えられています。キリ材に貝殻胡粉による白色を基調とした彩色が施され、西方の風俗を思わせる異国的な表情が、天平の国際色を伝えます。
中倉 白瑠璃瓶(はくるりのへい)〈ガラスの水差し〉
寸法:胴径14.0㎝、高27.2㎝、重さ634g
西アジアに由来する淡い緑色のガラス瓶
淡い緑色を帯びた透明なガラスが、涼やかな美しさを見せる「白瑠璃瓶」。重心の低い曲線的な胴、引き締まった首元、注ぎやすい口など、見た目の美しさと機能性を兼ね備えています。アルカリ石灰ガラスを宙吹きで成形し、軽やかに伸びる把手にも高度な技術がうかがえます。こうした形の水差しは西アジアに由来し、本品も中近東の工房で作られたと考えられています。1300年の時を越え、今も澄んだ輝きをたたえています。
<第78回 正倉院展>DATA
| 会期 | 令和8年(2026)10月24日(土)~11月9日(月)※会期中無休 |
|---|---|
| 会場 | 奈良国立博物館 東西新館 |
| 開館時間 | 8:00~18:00 ※金曜日・土曜日・日曜日、祝日は20:00まで ※入館は閉館の60分前まで |
| 観覧料金 |
観覧には原則、事前予約制の「日時指定券」の購入が必要です。 |
| 日時指定券の発売日 | 9月4日(金)10:00~ 「日時指定券」の変更、キャンセル、払い戻し、再発行はできません。 |
| 販売場所・時間 |
・ローソンチケット〔Lコード:57878〕ローソンおよびミニストップ各店舗、インターネット〈https://l-tike.com/78shosoin-ten/〉 |
| 日時指定券のご注意 |
・日時指定券は、当日各時間枠開始時刻まで販売されます。 ※入館時間区分は、「正倉院展」の公式サイトをご確認ください。 https://shosoin-ten.jp/info/ticket/ |
| レイト割について | レイト割は月~木曜日は午後4時以降、金・土・日曜日、祝日は午後5時以 降の「日時指定券」に適用されます。 |
| 問合せ先 | 奈良国立博物館 TEL 050-5542-8600(ハローダイヤル) |
| 公式サイト |
〈奈良国立博物館〉https://www.narahaku.go.jp |
| アクセス | ・近鉄・奈良駅から登大路を東へ徒歩約15分、 ・JR奈良駅から市内循環バス外回り「氷室神社・国立博物館」下車すぐ ※奈良国立博物館に専用駐車場はありません。周辺の駐車場をご利用くださ い。 ※正倉院展期間中は周辺道路・駐車場の混雑が予想されます。 |
| 地図 | https://maps.app.goo.gl/qc2rLhpbV9jSbuPx6 |





