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いよいよ春到来! 心が浮き立つ景色を求めて、低山ハイキングへ

2月も後半になれば、日差しがきらめく春はもうすぐそこ!
まだまだ肌寒くはありますが、晴天の日は健康維持もかねて、癒しの山歩きはいかがでしょうか。
ストレスフルな現代人にとって、森や山の自然がもたらしてくれる治癒力ははかりしれないもの。
体力に自信が…と躊躇するなら、初心者でも歩きやすい里山や、低山からチャレンジしてみて。
おすすめなのは、奈良県北部を代表する美しい里山、矢田丘陵(矢田山)です。
自転車やトレイルランニングなどの山中スポーツを楽しむ人に交じり、のんびりと歩いてみましょう。

目次

豊かな自然を残す、のどかな里山。「矢田丘陵」ってどんなところ?
魅力その① 気軽に自然にふれあえる! 展望台からの眺望のよさも◎
魅力その② 丘陵内に残る信仰の道、山裾の古社寺を巡る
こちらもおすすめ低山ハイキング① 360度のパノラマと、心を染めるマジックアワー「明神山」
こちらもおすすめ低山ハイキング② 美しいツツジと、神武天皇も眺めた眺望「鳥見山公園」

豊かな自然を残す、のどかな里山。「矢田丘陵」ってどんなところ?

生駒(いこま)山麓から遠望した矢田丘陵。平群(へぐり)谷、生駒谷の集落が手前に見える

生駒山に平行して、南北に細長くのびる矢田丘陵は、奈良市や生駒市など5つの市町村に隣接する低山です。
宅地開発が進んだ奈良県北西部にありながら、四季折々に美しい自然と、のどかな里山の風景を残している数少ないスポットで、昭和42年(1967)に一帯が「奈良県立矢田自然公園」に指定されました。
里山とは、人が手を入れた山のこと。矢田丘陵は裾野が住宅地に近接しているためアクセスがよく、また四方の山麓から尾根に向かって、縦横に遊歩道が整備されています。さらに標高が200~340mと低いため、「思い立ったらすぐ山に入れる」手軽さが矢田丘陵の魅力。関西有数のマウンテンバイクスポットとしても有名です。もちろん、ハイキングにもうってつけですよ!

丘陵内にはたくさんのハイキングルートがありますが、1日かけてのんびりと楽しむならば、丘陵を南北に抜けるルートがおすすめ。東西に抜けるルートに比べて距離は長くなりますが、斜度がゆるやかで初心者でもトライしやすいのがポイントです。スタート地点は南北に2か所、北は「矢田山遊びの森・子ども交流館」、南は「世界遺産 法隆寺」です。
「矢田山遊びの森・子ども交流館」は矢田丘陵の情報発信基地。大きな駐車場も完備しているので、車で来る場合はここに停めて、頂上展望台(片道約1.5km)や国見台展望台(片道約3.8km)までハイキングするのもいいですね。

魅力その① 気軽に自然にふれあえる! 展望台からの眺望のよさも◎

矢田丘陵の山裾には、思わずカメラを向けたくなるような、古きよき日本の農村風景が広がります。
足元に目をやると薄緑色のフキノトウ、そして青みを帯びた可憐なスミレの花が、春の訪れを告げてくれます。
開発が進む都市部にありながら、数少ない動植物のオアシスでもある矢田丘陵。
丘陵に一歩足を踏み入れると、驚くほどの自然の豊かさに驚かされますよ。

(左上より):ナナホシテントウムシ、シマヘビ、オタマジャクシ、スミレ、ノアザミ、フキノトウ、ワラビ、シジュウカラ、コゲラ

生き物観察をするなら、前述した「矢田山遊びの森・子ども交流館」の周辺がおすすめ。
春先に池をのぞくと、ニホンアカガエルの卵がたくさん! 孵化したばかりの小さなオタマジャクシも泳いでいて、とっても可愛らしいですよ。スミレも紫色だけでなく、白やピンクといろんな種類があり、目を楽しませてくれます。
5月頃になると多くの渡り鳥が丘陵上空を通過します。バードウォッチング好きな人はぜひ訪れてみてください。
忘れてはいけないのが、この美しい自然は“みんなのものである”ということ。キレイだから、珍しいからといって、勝手に取ったり持ち帰ったりするのはやめましょう。

さて、矢田丘陵の魅力は自然だけではありません。
「矢田山遊びの森・子ども交流館」の裏手から続くハイキングルートを歩いていると、やがて見えてくるのが「頂上展望台」。矢田丘陵で唯一、生駒山方面の眺望が望める場所です。ここから“矢田丘陵のへそ”である矢田峠を通り、尾根筋を歩いて「国見台展望台」へ。ここから見える、180度のパノラマはまさに絶景の一言! 眼下には大和郡山の市街地や薬師寺の2塔が見え、遠くに目をやると若草山東大寺も望めます。この眺望のよさも、矢田丘陵の魅力の1つです。

(左より時計回りに):国見台展望台からの眺望は矢田丘陵随一! 「矢田山遊びの森・子ども交流館」では、丘陵の地図が手に入る。「国見台展望台」は休憩やお弁当タイムに最適だ。丘陵最高地点(標高340m)には「頂上展望台」が建つ

魅力その② 丘陵内に残る信仰の道、山裾の古社寺を巡る

南側のスタート地点である「世界遺産 法隆寺」は、電車でアクセスする人にとっては便利なスポットです。
法隆寺の東大門近くに立つ「左 松尾道」という石碑が、矢田丘陵へのスタート地点です。「松尾道」という名前からピンとくる人は、かなりの歴史好き。そう、この道を通ってたどり着く先は、日本最古の厄除け寺として有名な「松尾寺」です。
約3km続く松尾道は、松尾寺のかつての表参道。道中には約100m(一丁)ごとに、石の道しるべである「丁石(ちょうせき)」が置かれています。中世~江戸期にかけて修験の寺としても栄えた松尾寺。おそらく、数多の修行者や参詣者が、丁石をたどって松尾寺を目指したことでしょう。かつては人々がにぎやかに行き交った参道のようすを思い浮かべながら、一丁、二丁…と、丁石を数えながら歩いてみるのも楽しいですよ。
矢田丘陵の山中では、あちこちで小さな野仏にも出会えます。傍らにそっと供えられた野の花から、今も息づく信仰心が垣間見える気がします。

(左より時計回りに):傍らの丁石とともに、行き交う人を見守るお地蔵さん。「矢田山八丁」の丁石。「安政五年」の刻字が歴史を物語る。長い石段が続く松尾寺。皇室の信仰篤く、雅な雰囲気がただよう。朽ちかけた築地塀が印象的な東明寺(とうみょうじ)は、舎人(とねり)親王の建立

法隆寺や松尾寺のほかにも、矢田丘陵の山腹や山裾には、歴史のある寺社が点在します。
矢田地方最大の古社である、矢田坐久志玉比古(やたにいますくしたまひこ)神社。『古事記』で天磐船(あまのいわふね)に乗って地上に降臨したとされる櫛玉饒速日命(クシタマニギハヤヒノミコト)を祀っています。航空関係者からの信仰が篤く、楼門にはなんとプロペラが! 古代史好き、飛行機好きならぜひ訪れてみてください。
花めぐりがお好きなら、ぜひ松尾寺・矢田寺・東明寺(東明寺の拝観は要予約)へ。松尾寺のバラ園は5月が見ごろです。初夏にかけては矢田寺のアジサイ、そして東明寺の夏椿(沙羅)の花が盛りを迎えます。足と相談しつつ、花の古寺を巡ってみましょう。

矢田丘陵DATA

エリア 奈良市、生駒市、大和郡山市、斑鳩町、平群町に隣接
標高 340m(頂上展望台)
アクセス(一例) <車>「矢田山遊びの森・子ども交流館」駐車場を利用。交流館裏手よりすぐハイキングルートに入る
<電車>「世界遺産 法隆寺」までJR法隆寺から徒歩約20分、または奈良交通バス(法隆寺参道行き)で終点下車。法隆寺から矢田丘陵南端入口付近まで徒歩約15分
注意 春は山麓の田んぼや、あぜ道などの水辺にマムシが、山中には猪が出没することがあるのでご注意ください。尾根筋は遊歩道や管理車道が複雑に交差しているため、迷いやすくなっています。初めて丘陵に入る場合は、地図や道標を必ずご確認ください。

こちらもおすすめ低山ハイキング① 360度のパノラマと、心を染めるマジックアワー「明神山」

目の前に広がる悠久の奈良盆地。反対側に顔を向けると、今度は大阪の町並みがパッと視界に飛び込んできます。
ここは王寺町の明神山。標高273.6mの頂上にある展望デッキからは、東西南北360度の大パノラマとともに、関西が誇る世界遺産5つが同時に見られます。SNSを中心にじわじわと評判になり、最近ではこのすばらしい絶景を一目見ようと、明神山を訪れるハイカーが後を絶ちません。

登山道の入口があるのは、戸建てが整然と並ぶニュータウン。ここから、約2km弱の登山道を登っていきます。舗装された登山道はゆるやかで歩きやすく、初心者でも安心。森林浴気分で、ゆったりと歩きましょう。登山道を登りつめた山頂には、キレイな展望デッキと赤い鳥居、そして「水神社」が鎮座します。
この辺りでは古くから、明神山から湧き出る伏流水を農業用水として利用してきたため、山頂に水神をお祀りしているのだそう。

金剛山地の最北端に位置する明神山からの眺めは、「奈良県景観資産」の1つに認定されています。ここから見える5つの世界遺産をご紹介しましょう。
まずは北東方面。すぐ眼下に見えるのが「法隆寺地域の仏教建造物」です。そこから視線を上げると、前述した矢田丘陵が長々と横たわり、その先の連綿と続く山々の一角に、うっすらと黄緑色に見えるのが若草山。展望デッキの望遠鏡を覗けば、「古都奈良の文化財」こと、東大寺大仏殿や興福寺の五重塔が確認できます。空気の澄んだ日は、さらにその奥にうっすらと「古都京都の文化財」の1つ、延暦寺が鎮座する比叡山までも見えることがあるのだとか。
南方面に視線を転じれば、二上山葛城山・金剛山が連なって見え、南東方面には美しい大和三山と藤原京、そして三角すいを描く三輪山と大神神社の大鳥居、さらに奥には「紀伊山地の霊場と参詣道」こと大峰山脈がそびえます。
西を向くと大阪府。県境の山を越えると、河内・堺エリアです。ここにあるのが「百舌鳥・古市古墳群」。もちろん、頂上からは巨大な古墳が見えますよ! さらに高さ300mの、大阪が誇る巨大な商業ビル・あべのハルカスや、運が良ければ明石海峡大橋、そして淡路島や六甲山まで見えるとか。関西が誇るこれらの世界遺産や景色が一度に見渡せる場所なんて、奈良広しといえどもおそらくここだけ。さらに瀬戸内海まで見えるなんて、とっても感動的ですね!

展望デッキの一角に、「誓いのテラスSORANI」と名付けられた場所があります。ここは夕日の絶景スポットで、恋人たちが永遠の愛を誓いあうための「悠久の鐘」が設置されており、プロポーズにもふさわしいロマンティックな場所として「恋人の聖地」に選定されています。大切な人と、幻想的なマジックアワーに、鐘を鳴らしに来てみてはいかがでしょうか。

三角形がかわいい明神山のパンフレットは、王寺駅や王寺町観光協会窓口(りーべる王寺東館5階)でゲットできます

山頂には雪丸願い札掛け所があります。
掛けたい人はあらかじめ雪丸願い札(510円)を購入して。
王寺町観光協会や達磨寺で絶賛販売中です!

明神山DATA

エリア 王寺町
標高 273.6m
アクセス ※明神四丁目バス停の近く(明神四丁目公園隣)にある「明神山参道鳥居」が登山道の入口です。
<車>香芝ICから約3kmの「明神山参道鳥居」前駐車場利用(無料、9~19時)。明神山山頂まで徒歩約40分
<電車>JR・近鉄王寺駅(南口)から奈良交通バス(天平台・南元町方面行き)で「明神四丁目」下車、明神山山頂まで徒歩約40分
注意 春は山中に猪が出没することがあるのでご注意ください。

こちらもおすすめ低山ハイキング② 美しいツツジと神武天皇も眺めた眺望「鳥見山公園」

桜の時期が過ぎれば、続いて咲きだすのが赤いツツジの花。
奈良県でツツジの名所といえば、まず名前があがるのが御所市の葛城山ですが、宇陀市にもツツジの美しい山があります。
近鉄榛原駅の北側にそびえる、鳥見山。標高735mと少し高いのですが、そのぶん、山頂にある見晴台からの眺めは絶景です。

眼下には宇陀市の町並み、その後ろには大台ケ原や稲村ヶ岳などの大峰の山々が連なります。また、違う方面には大和平野と金剛山、葛城山、二上山と、とても広い範囲をはるかに見渡すことができ、気分爽快!
鳥見山公園からの景色は奈良県内有数ともいわれ、春~初夏や、秋には数多くのハイカーたちでにぎわいます。
とくに春は新緑と真っ赤なヤマツツジとのコラボが美しく、葛城山にまさるとも劣らない、すばらしい景色が楽しめますよ。

山頂からすこし下ったところにある鳥見山公園の広さはなんと約8ヘクタール! 5月上旬~下旬にかけて、自然豊かな公園内をおよそ3000本以上ものツツジが競い合うように咲き誇ります。毎年5月上旬にはツツジ祭りが開催され、楽しいステージイベントも見ることができますよ。

公園の中心には勾玉池があり、畔にはツツジのほかにも花菖蒲が咲きます。
花々に目を奪われてなかなか気づかないのですが、実は池の近くにひっそりと、鳥見神社という古社が鎮まります。
神さびた雰囲気を醸し出す社殿には、3柱の神様が祀られています。そのうちの1柱が神日本磐余彦尊(カムヤマトイワレヒコノミコト)、初代天皇で知られる神武天皇の別称です。
『日本書紀』によれば鳥見山は、神武天皇がみずからの祖先神・天神を祀った場所とされています。記述では「霊畤(まつりのには)を鳥見山の中に立てて、其地(そこ)を号(なづ)けて、上小野(かみつをの)の榛原(はりはら)・下小野(しもつをの)の榛原と曰(い)ふ」とあり、「榛原」という地名の由来の1つとなっています。

日向の国(宮崎県)から、東を目指した神武天皇。その波乱万丈の道中は「神武東征」としていまも語り継がれています。
東征の歴史を紡ぐ、由緒正しき鳥見神社。鳥見山を訪れる際はぜひこちらにもお参りをしてみてください。

倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣(あおかき) 山隠(やまごも)れる 倭しうるわし
(倭は、国の中でもっともすばらしい場所だ。青々とした垣根のように重なりあった山々が取り囲む、うるわしき我がふるさとよ)
出典:「なら記紀・万葉」HPより


かつて倭建命(ヤマトタケルノミコト)が詠んだという万葉歌は、こんな景色だったのでしょうか。
山々を吹き抜ける風をあびながら、しばし古代の王の気分になって景色を堪能してみてください。

鳥見山DATA

エリア 宇陀市榛原
標高 735m
アクセス <車>榛原駅前から約4kmの「山頂駐車場」利用(無料、約10台)。見晴台は駐車場から徒歩約5分
<電車>近鉄榛原駅(南口)から奈良交通バス(針インター行き)で「宇陀警察署前」下車、鳥見山山頂まで徒歩約30分
鳥見山公園 入園無料
注意 ツツジ祭り開催中は駐車場が利用できません。
榛原市街地からの登山道は急こう配が続きます。必ず履きなれた、歩きやすい靴でお越しください。また車の場合は、対向が難しい場所がありますのでくれぐれもご注意ください。
春は山中に蛇が出没することがあります。

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